はじめまして 臨床心理シランの室です。
思春期を専門にしている立場から一言、助言させていただきます。
思春期のテーマ…自立、不安定、心身のアンバランス、性の意識、大人への反抗…。
自立するには、大人と対等の人格形成が課題になります。それが反抗という形をとることがあります。今までと違って、干渉や指示されることを嫌がります。なぜなら自分で考え、判断し、行動すること…それは自立に必要なものだからです。反抗には、意味があります。その反抗の意味を理解することが思春期を生きる息子さん理解につながります。
だからといって、好き勝手やわがままが許されるわけではありません。一定の大人社会の規範やルールが求められます。つまり、自由に振る舞うことには責任が伴うことを教えるのもこの時期の大事な課題になります。
思春期は、今までの自分を今一度点検する時でもあり、積み残した発達課題(未成熟部分)があれば、思春期を乗り越えるのに人一倍苦労するかもしれません。反抗は、大人になるための一つの儀式でもあります。ただ人によって反抗の表現が違います。非行に走ったり、引きこもったり、様々です。しかし、子どもは、反抗を経て、一人前の自立した大人になっていくのです。その反抗期がなく、20代、30代、それ以降になって出ると最悪の事態になることは、テレビなどで報道されている通りです。
親も二度目の子育てを求められる時期であり、子ども同様に成長していかなければなりません。多くの子どもは「危機」の時期をそれなりに乗り越え自立していきます。彼らを身近で支えているのが、親をはじめとした家族であり、祖父母であり、兄弟であり、友達であり、先生たちです。だれか一人、信頼でき本人を受け止めてくれる人がいれば、思春期を乗り越えるべき山として立派に乗り越えていきます。
しかし「危機」に躓く例として「不登校」「非行」「家庭内暴力」「心の病」などがあります。息子さんは学校の先生では、どうなのでしょうか。
母親と息子さんがバトルになるのは、たぶん息子さんの態度や行動を注意するときではないかと思います。子ども時代同様な小言的な注意を繰り返えせば、反抗は強まるでしょう。母親は子どもに対して注意するのは当たり前であり問題はありませんが、息子さんの心理状態を配慮した注意の仕方やタイミングをみはからうことが、この時期には求められます。
息子さんの思春期の心理を理解する必要がありそうです。その都度、父親に頼るというのも逆効果になり、母親への反発を強める結果になります。父親へはそっと話すべきだと思います。この時期の子どもは「言いつけられる」ことを最も嫌うからです。
今は父親(父性)が求められる時です。父親の出番です。問題は関わり方ですが、息子さんを立派な大人にしたいという親の愛情があれば必ず伝わると思います。
表面的な行動の奥には「よくなっていこう、成長しようという善性」が息子さんの心の中に存在しています。そこを信じて、息子さんの表面の行動に振り回されず丸ごと受容し忍耐強くかかわれるかが鍵になります。
常識に反することや道理に合わないこと…好き勝手な行動や母親に対する暴言などに対しては、父親が毅然と対決しなければ息子さんが壁を超えることができないでしょう。父親が真剣に体を張って息子さんに善悪を教える役目があります。そうした父親の行動に、息子さんは反発したり口では不満をもらしたりするでしょうが、心の底では自分に真剣に向き合ってくれたことに内心ほっとしているのです。それが一つの壁を乗り越える原動力なっていくと思います。
今、父親が避けたり逃げたり傍観者的態度になってしまったら、息子さんの行動は、家庭内でエスカレートしていくかもしれません。息子さんの今の行動には意味があり原因があります。その意味を両親がしっかりと理解し、手を放しても目を離さない、息子さんの「よくなりたいという善性」を信じぬく関わりをしていけば、徐々に良い方向にかわっていくと思います。時間はかかるかもしれませんが、長い目で見て諦めず関わり続けてください。今まで以上の家族になる日がきっとくるでしょう。
辛いときは学校に配置されているスクールカウンセラーに相談されることも、メンタルヘルス上大事なことと思います。長期戦が予想されますので…。